2015年2月25日水曜日

そばのかえしと出汁を工夫してみる

最近、僕はそばを手打ちしているのですが、考えてみればかえしや出汁に対するこだわりが薄かったかもしれません。かえしや出汁ももっと色々考えて試してみるべきだと思いました。

そこでかえしと出汁を自分流に工夫したそばを作ってみます。


まずはかえしから。醤油とミリン砂糖を混ぜて加熱したり寝かせりするアレです。

そもそも、かえしはどういった仕組みで美味くなっているんでしょうか。適当に検索してみて出てきたのがこの論文です。

どれどれ、中まで読んでも理解できないだろうし、結論だけでも抄録で確認してみるか。

「(前略)かえしのねかしに有用な微生物の関与しない場合の熟成と思われる品質の改善は、エタノールや水と同時に蒸発するような高蒸気圧成分の揮発による現象ではないかと推定できた」

ほうほう……高蒸気圧成分って何(絶句)

まあ要するに、醤油をかえしにすることで、そのまま使うよりも香りの角が取れたり塩味の角がとれたりして美味しくなると。その原因として考えられるのは微生物の関与と食味にとってマイナスの香りが揮発することだということですか。


微生物はちょっと置いておいて、加熱して醤油臭い嫌な臭いを揮発させればいいんでしょうかね。

しかし、ただ醤油を加熱しても不味くなるだけだよなあ。煮立った味噌汁みたいなもので良い香りも悪い香りも全部ふっとんでしまう。

あ、みりん砂糖を混ぜて加熱するかえしの場合には良い香りは飛ばないということは、糖分と一緒に加熱することがポイントで、糖分のおかげで美味しい香りは逃さない仕組みになっているのかもしれないな。よっしゃこれでやってみよう。

どうにも怪しげな推論ですが、とりあえず糖分が大事的な方針でやってみましょう。


まず、スプーン半分のみりんと同量程度の砂糖を煮詰めて水分を飛ばし、ネバネバした状態にします。糖分の濃度をあげちゃおう作戦。

次に、湯を張ったフライパンに煮切ったネバネバの入った鍋を入れて加熱する。かえしを作る際に沸騰させると、良い香りも悪い香りも全て飛んでしまうし、焦げ臭さまでついてしまうようなので、湯煎のような感じでゆっくり加熱する。

醤油はスプーン2杯程度。これを少しずつ入れていく。いきなり全部入れてしまうと、全体に占める糖分の割合が下がってしまう。少し入れて加熱して水分を飛ばしてネバネバになったら、また少しいれて加熱する。これを繰り返しました。

なお、醤油みりん砂糖の割合は、「一杯のそばだとスプーン二杯程度の醤油の量だよなあ。甘みはその半分くらいか。みりんと砂糖は……同量でいいや」くらいの適当な感じで決めたものです。なんかグーグルに聞いてみたところ、砂糖とみりんの割合は結構シビアに調整したりするみたいですね。

だんだん醤油の香りがなくなって、焦げ臭さのない醤油せんべいみたいな匂いになってきました。とりあえず醤油の邪魔な香りは飛んだ気がするので、これで出来上がり。


つぎは出汁です。

基本となる出汁はこれとかこのへんのやり方で取ったものです。昆布出汁に煮干しを水出ししたものですね。

ただ、これをこのままそばの出汁に使うのはパンチ不足だと思います。
ざるそばつゆにするなら、これを濃縮して濃い出汁を作ります。煮詰めるとか、凍らせて半分溶かして凍結濃縮の要領で濃くするとか。でもまあかけそばでそれをするとくどくなりそう。なにかもう少しアッサリしつつパンチを出せるものはないか。

ということで、旨みの塊であるトマトで補強してみることにしました。出汁をとる際にドライトマトも使っているので、追いトマトですね。中の汁の部分を煮だします。実は料理しながら食いました。
僕は、かけそばのつゆでは軽く酸味のあるものが好きです。だから、トマトの酸味も意外に悪くないのではないかと。

なお、かけそばのつゆが酸っぱいのは鰹節の状態がよくないせいだとか何かで読んだような記憶があります。あまり良いことではないのかもしれないですが、まあ好きなんだから仕方がない。

出汁に放り込んで煮ていきます。 
十分に煮えたらそーっと茶こしでこす。

茶こしでこしたものはこんな感じ。
これにさらに仕上げ段階で鰹節ドーピングをします。

このトマト出汁を少し分けて、なめこを煮ました。
カツオで出汁をとった後でなめこを煮るとかつおの臭いが飛んでしまいそうな気がしたし、なめこの入った汁にかつおぶしを投入するのも無理があると思ったので、別にわけて煮たわけです。最後にとまとかつお出汁と合わせる予定。

かつおぶしを削り、ネギととろろを用意します。
長芋のはしっこの部分だから汚い色だなあ……。でもすりおろしちゃったし、これを使います。


鍋に湯を沸騰させてそばを茹でる準備OK。右の丼にはそばを温め直す用の熱湯が入っています。
僕のそばの打ち方についてはラベル「そばの打ち方」をクリックしていただければ記事が出ると思います。


ここからは忙しくて写真をとっていませんので、文章で適当に説明します。

かつおぶしドーピングをしてなめこ、かえしと合わせたかけつゆを準備しました。

そばは茹でて洗って温め直しました。

そして全部を合わせてとろろとネギを乗せて出来上がり。


できあがりの画像がこちら。
とろろが汚いよ~。邪悪な波動に目覚めてやがる……。

麺はこんなもんかなあ。
もうちょっと上手く打てる気もするけど、僕くらいの技術ならこれで満足しないといけないんでしょう。挽きぐるみの粉を使ってみたのですが、温かいそばには合いますね。ツルっとしていて二八そばみたいだ。


肝心の出汁とかえしの味は……どうなんだろう?不味いとは思わないけど、そんなに特別に美味いわけでもないよなあ。

トマトは予想していたほど影響力がなかった感じです。あれくらいの量ならこんなものなのか。いやでも悪くはない(と思う)。

確かにキツい醤油の香りはないから、かえしの効果もあったのだと思います。まあこれなら成功といっていいのではあるまいか。自分に甘いかなあ。


結果、そばを作る際の選択肢としてはアリだと思いました。ただ、面倒ですよね。かえしは煮詰めてドロドロにしてしまう方式だから、大量につくって容器に保存しておくこともできないし。


いろいろ試してちゃぶ台返しですが、そもそも僕はかえしじゃなくて醤油をそのまま使った醤油くさいそば嫌いじゃないんですよね。それはそれで美味いような。

え、ふざけんな時間をカエシてって?いやダシ(親父ギャグで締めてごめんなさい……)。

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