2015年2月24日火曜日

僕のそばの打ち方 延し編

僕のそばの打ち方 水回し、練り編の続きです。この記事は延し編。


しょっぱなから何ですが、水回しと練りさえしっかりしていれば後はどうやったっていいと僕は思っています。水回しと練りを怠るとボロボロでまともに食べられない麺になってしまいますが、延しや切りが適当でムラのある麺になってもそれは美味しく食べられます。サラダなんかに混ぜ込むならむしろムラのある方が美味しいくらいです。

この記事はかなり几帳面に工程を書いていますが、これはきれいな麺を作るための工程だと思っていただければ。麺のきれいさを気にしないで適当に延ばして切ってもそれなりに味は美味いです。


まずは道具の紹介から。延しに必要なのはまな板と延し棒です。

僕が使ってるまな板はアマゾンで買った家庭用のまな板のデカいやつです。
本格的にやるならこれでも小さいんでしょうが、個人の趣味でやるならまあこんなもんでしょう。普通のまな板でも延せなくはないので、初めからわざわざ買わなくてもいいと思います。僕も普通のまな板で延していました。やってみて必要だと思ったら買えばいい。

延し棒は確か百円ショップで買ったもの。買う前は15㎝くらいのミニすりこぎで延ばしていました。まあこれも適当。


それでは作業に入ります。延す前に、生地の表面をしっとりさせると良いです。加水量がちゃんとしていれば心配することもないんですが、加水が足りなかったり表面が乾燥したりしている場合は、延す際に端にヒビ割れが入ってしまう。下手をすると麺帯全体がボロボロになってしまいます。そうなるのが怖いので、僕は念のために表面をしっとりさせてから延すようにしています。

濡らしてから軽く拭いた手で生地をペタペタしてしっとりさせます。ほんとうにしっとりさせるだけです。水滴がついているような手で触るとドロドロになって台無しになってしまいますので注意。


はじめに延しで一番大切な注意点を。引っ張るように延すのはNGです。そばの生地はベタベタした粒同士がくっついているだけなので、引っ張るように延すと千切れていきます。延すというより棒で押し固めていくイメージです。

グルテンのできる小麦粉の生地と違って脆いことを頭に入れて作業をしないといけません。生粉打ちの場合、中華麺を作る際によく行われる麺帯を合わせるような作業はできないし、たぶん必要もないんじゃないかと思います。


それではまな板と生地、延し棒に薄く打ち粉をして延していきます。まず角を出す。
矢印のように棒を動かせば、角ができます。


角ができたのが下の写真。
もう後はこれを希望の大きさに延していくだけです。


きれいに延すために注意すべきなのは、 形を整えるときには厚い方から薄い方に生地を移す工程を入れないといけないということです。

具体的に説明します。角を出した後は、どうしても生地の厚みが偏ります。画像に色をつけてみました。赤のところが一番厚く、次に厚いのがピンク。青の角の部分は逆に薄い。

これに気付かない僕がそのまま漫然と延ばしてしまったとします。そうすると厚い部分が生地の輪郭から飛び出すような形になってしまいます 。生地が余っているところだけ、余計に延びてしまうのです。
せっかく出した角が埋もれてしまった……。ここから焦って青い部分を延ばして形を整えようとすると、ただでさえ薄い青い部分がさらに薄くなって、麺帯の厚さにムラができてしまいます。こうなるときれいな麺が打てない。


こうならないためには、厚い赤やピンクの部分の生地を、薄い青の部分に寄せていく工程が必要です。下の画像のように棒を動かす。×のところには棒を動かさない。
赤とピンクの生地の余っている部分を青の部分に寄せるわけです。そうやって厚い方から薄い方に生地を移してから角の形を整える。

麺帯が大きくなってくると、臨機応変で形を整えないといけない場面がでてきます。そのときも、厚い方から薄い方に生地を移す工程を入れることを忘れないように。それさえ忘れなければ、そばの生地は柔らかいので、そんなに手こずらずに延すことができるはずです。


延し終わった麺帯がこちら。僕は大体30㎝くらいの長さになるように延します。
麺帯の厚さや長さは、どういった太さや長さの麺を作りたいのか、個人の好みで決めれば良いと思います。


個人の好みとは言いましたが、麺の長さは大きな問題ですからちょっと書いてみます。

この点についてよく聞くのが「うどん一尺、そば八寸」という諺です。一尺は30.3㎝、八寸は24.2㎝。

確かに、僕もそばはモタモタしないでスッキリ食べたいですから、うどんよりも短い方がいいとは思います。しかし、この20cm前半の長さというのは、実際やってみると分かりますが、明らかに短すぎる!

近所のそば店を回って長さを調べてみたのですが、そばの場合、30cm前後の長さが多いみたいです。僕もその程度の長さが味食べやすさ等の点でみて適当ではないかと思っています。

「うどん一尺、そば八寸」というのは、そばの生地がもろいせいで長い麺を作るのがそもそも無理だったという事情もあるようです。グーグルで検索してみると色々書いてあって面白い。

僕の場合も、技術がないから30㎝弱の長さで満足している面があります。切り、茹で編で述べますが、麺切包丁が30㎝の長さで生地を折りたたむ技術もないので、30㎝弱の長さの麺までしか作れないのです。30cm後半の長さの麺切包丁が欲しいけど、そういう麺切包丁はめちゃくちゃ高いんだよなあ……。


閑話休題。本題に戻りましょう。

僕は生地を二つに分けて作業しているので、もう一つの生地も同様に延します。

先に延し終わった麺帯は移動させておきます。他のまな板やコマ板の上に乗せておきましょう。脆いから丁寧に。乾燥を恐れてビニール袋等をかぶせる必要はないと思います。麺帯にしてしまえばもう延す際の強敵である乾燥を恐れる必要はないし、そば生地は意外に簡単に延せるので先の麺帯が乾燥するほど時間がかかることはないと思います。


生地が延せたらいよいよ切り編です。

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