2015年1月5日月曜日

僕の出汁の取り方 煮干し編

僕の昆布出汁の取り方は僕の出汁の取り方 昆布編に書いています。今回は、この昆布出汁を基本にして煮干しの出汁をどう取っているのか記録したいと思います。昆布出汁に煮干しの旨みを合わせて旨みの相乗効果を狙うわけです。


それではいきましょう。まずどんな煮干しを選ぶのか。

もったいぶった書き出しからいきなりなんですが、よく分らないのですよね。劣化して変色したり、砕けてボロボロになったりしていないもの、ってくらいでしょうか。

あ、あと大きい煮干しの方がよい出汁が出るような気がするなあ。伊吹島産の煮干しとかしっかりしてますよね。やっぱりああいうのがいいと思います。

忘れてはいけないのは煮干しも劣化が早いということ。小さめの袋に入ったものをすぐ使い切ってしまう方がいいですね。大きい袋入りの方が安いですが「劣化した煮干しがこんなに余ってしまった!」となりがちです。一人暮らしだったりたまにしか料理をしなかったりする人は小さい袋を選びましょう!


次に問題になるのは煮干しを何に浸して出汁をとるのか。ただの水?それとも昆布出汁?

僕はいきなり昆布出汁に浸しています。昆布出汁とは別に水から煮干し出汁をとって、それを昆布出汁と合わせた場合と特別違いを感じませんでしたから。むしろわざわざ分けて取る方が余分な水分量が多くなりがちで良くないのかもしれません。まあ、特別な違いを感じない時はLESS is MOREですよね。


次が一番よく論じられる問題です。水に浸した煮干しを加熱しないで一定時間放置することで出汁を取るのか、加熱して出汁を取るのか、それらの折衷でいくのか。

僕は基本的に水出し放置法で出汁をとっています。放置時間は一晩程度。この方法のメリットは二つあります。

一つ目は煮干しの臭さが出ないこと。煮干し出汁の弱点は煮干し臭さのせいで味噌汁以外に応用がきかないところにありますが、水出しの場合、煮干し臭さがほとんどないので色んな料理に応用することができます。これがとても大きい。

二つ目のメリットは頭や内臓を取る細かい処理が不要であるということ。加熱する場合、頭と内臓を取らないといかにも煮干し臭い出汁になってしまいます。また、意外な盲点としては煮干しの銀粉、鱗の部分からも煮干し臭さは出るということです。この処理は結構面倒臭いものです。

デメリットとしては時間がかかることでしょうか。しかし、寝ている間や昼間外出している間に水に浸しておくだけですから、それほど害はありません。

あ、煮干しの旨みを十分活用できていないではないかという批判もありえるかもしれません。山崎清子ほか『新版 調理と理論』20頁以下(同文書院、2003)を見ると、全く加熱なしだと旨み成分はかなりの程度煮干しに残っていると考えられます。これに対しては「出汁ガラも食べちゃうからいいんだよ!」と答えましょう。出汁ガラの食べ方は後述します。

基本的に水出しを採用するといっても、その理由は煮干し臭さを嫌うところにあるわけですから、煮干し臭さが歓迎される料理の場合は加熱して出汁を取る場合もあります。里芋など根菜の味噌汁の場合は煮干し臭い出汁の方がよく合うと僕は思っています。


最後に問題になるのは保存法です。

僕は魚系の出汁については保存を諦めています。魚系の出汁は冷蔵でもあっという間に悪くなってしまう。特にかつおぶしは肝心の香りが消えてしまう。魚系の出汁は使うときに取るようにしています。

昆布の出汁は冷蔵で4、5日はもつかもしれませんが、魚系の出汁は2,3日で濁りはじめてもうダメだと思います。

それでも、どうしても保存したいときもありますよね。煮干しの出汁をとったはいいけれど、疲れ切っていて本格的な料理は明日にしたいときとか。そんなとき煮干し出汁の場合は冷蔵ではなく冷凍します。冷凍なら冷蔵よりは劣化が激しくないです。かつおぶしはどんな場合であっても保存しません。僕の出汁の取り方 かつおぶし・その他編で述べますが、かつおぶしの場合は煮干しと違ってすぐに出汁が取れるのでそもそも保存する必要がありません。


それでは、凍らせておいた昆布出汁と煮干しを具体的にどう組み合わせて出汁をとるのかやってみましょう。



これが凍らせておいた昆布出汁です(いや、これは凍らせる前だな)。まあともかく、このケースに煮干しを4,5本放り込む。


昆布出汁の氷は溶かして水に戻しておく必要はありません。冷たい温度の方が煮干しの臭みが出ないので、凍ったままのところに放り込んで解凍と水出しを同時に行う方が好都合なのです。昆布出汁もわざわざ一度溶かしておくよりも劣化しにくい。

台所のシンクの片隅にでも煮干し入りの凍った昆布出汁を放置しておいて、一晩置けば煮干しと昆布の出汁のできあがりというわけです。

ちょっと注意をしないといけないのは、時期によって氷の溶け方が違ってくるということです。夏の暑い時期は冷蔵庫に入れておいた方がよいでしょうし(結露が出ることに注意)、冬の寒い時期で昆布氷が自然に解けそうにないなら熱湯などで少し溶かしておく必要はあります。温度によって微調整が必要だということですね。


さて、だしがらの煮干しはどうしましょうか。前述したように、水出しの場合は煮干しに旨み成分が残っているので、そのまま捨てるのはもったいないのです。まあ面倒くさい時は捨ててしまってもいいのですが、僕はできるだけ食べるようにしています。


まずは上の画像のように頭と内臓を取り外します。水でふやけているので、煮干しの背と腹の部分をかるくつまむようにするとすぐバラバラになります。面倒ですが、乾燥した状態で頭と内臓を取り除くことと比べればずいぶん楽です。

頭と内臓は捨てます。これらは強烈に煮干しをアピールするラーメンでも作る場合でない限り使えないと思います。一度頭と内臓を使って煮ものを作ってみたのですが、不味い、助けてくれと悲鳴をあげながら食べるはめになりました。

鱗もちゃんと取りましょう。水にさらしながら指先で表面を撫でるようにすればすぐ取れるはずです。これが残っていると煮干し臭さが目立つ料理になってしまいます。


これで処理が終わったので、あとは適当に料理に使えばよろしい。キッチンペーパーの上などで乾かしてからピーナッツと炒めてみりんにからめて小魚ピーナッツにしたり、乾いたものを細かく砕いて魚粉にしてラーメンに使ってみたり。ふりかけもいいですね。


僕のオススメはミリンにつけてふにゃふにゃにしておいて、煮ものに使うことです。口当たりはソフトだし、変な煮干し臭さもない上品な味で悪くないですよ。小腹がすいたときにどうでしょうか。


以上で煮干し編は終わりですが、僕は実際に煮干し出汁をそのまま料理で使うことはあまりありません。これを加工して料理に使うことが多いです。その方法は僕の出汁の取り方 かつおぶし・その他編でどうぞ。

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