2015年2月25日水曜日

僕のそばの打ち方 切り編

僕のそばの打ち方、水回し、練り編延し編に続いて切り編です。


かなり几帳面に工程を書いていますが、延し編でも書いたように、僕は水回しと練りだけちゃんとしていれば後は適当で良いと考えています。きれいな麺をつくろうとすると手間がかかるけど、別にこだわらなくても美味しい麺は食えるんだってことですね。


まず道具から。切りで使うのはこま板と麺切包丁です。

こま板はホームセンターで買ってきた100円とか200円とかの木材を接着剤で貼り付けたもの。大きさや枕の高さをどう考えて作ったかは切り工程の中で説明します。きれいな麺にこだわるのでなければ、菓子箱のふたを代わりに使ってもいいし、こま板なしで切れないこともないと思います。

麺切包丁は30cmのものをアマゾンで買いました。本当は30cm後半の麺切包丁が欲しいのですが、高くて手が出ないので……。貧民でごめんなさい。お金が欲しくて死にそう。これもきれいな麺にこだわらないのであれば普通の包丁でいいと思います。ただ、麺切包丁なしできれいな麺を切るのはほぼ無理です。

麺切包丁は濡れたまま放っておくとあっという間にサビが出るので、切り終わったら濡れたふきんでそば粉をふき取って、食用油を薄く塗っておきましょう。僕は水分がついたままで放置したせいでサビを出しました。泣きながら重曹で磨いてサビを落としました。一応サビは落ちましたがこれが正しい処置だったのかいまだに分かりません。

切りの工程では、製麺機やパスタマシーンを使ってはどうかという疑問もあります。僕は製麺機やパスタマシーンを持っていないのでよく分らないのですが、生粉打ちのそばに限っては麺切包丁で切ることに優位性があると思います。生粉打ちの麺帯はとにかく脆いですから、持ち上げたり移動したりしたくない。切った麺もできるだけ動かしたくない。極端な話、延したら全く動かさずに包丁を入れて、まな板ごと直接湯に放り込みたいくらいです。製麺機やパスタマシーンはどうしても麺に負荷がかかる場面が多い気がします。


でははじめましょう。まずは延して出来上がった二枚の麺帯を重ねる。
大きさがキッチリ合っている方が、端のキレッパシ麺が少なくて済むし、厚さのムラもなくてすみますね。まあそのへんを合わせるのは慣れだと思います。本当はでっかい生地を延して折りたたんで合わせる方が麺帯の大きさのムラが出なくていいんでしょう。

重ねるときは、まな板上、麺帯と麺帯の間、麺帯の上に打ち粉をふります。麺帯と麺帯の間の打ち粉は麺同士がくっつくのを防ぎ、麺帯の上の打ち粉はこま板がスムーズにズレるのを助けてくれます。

意外に大事なのはまな板の上の打ち粉です。この粉をしっかりふっておかないと麺とまな板の間のクッションがなくなり、麺切包丁で直接まな板を切り込むようになってしまいます。そうなると麺を切り離しにくいだけでなく、麺切包丁の刃を痛めることにもつながります。


次に問題になるのは、重ねた麺帯をさらに折りたたんで切るかどうかということです。
折りたたまないのなら、上の画像の赤の矢印の長さに平行に包丁を入れないといけない。これだと包丁が少しブレただけで、包丁の切っ先の部分と顎の部分で麺の太さが大きくブレることになってしまう。一方、折りたためば黄色の矢印の長さを切るだけですむ。これだと簡単。

また、そもそも麺切包丁が小さい場合、折りたたまないと長い麺は作れません。

しかし、生粉打ちで麺帯を折りたたむのは素人には超がつくほど難易度が高い。というか、並みのそば打ちプロでも無理なのではないか。上述したように、そばの生地はもろいですから折りたたむとそこで折れてしまう。仮に折れなくても、折りたたんだところに変な癖がついてしまうのは避けられない。

技術の足りない素人は、折りたたまず切るに限ります。そのことで問題になる切りにくさ、幅の揃えにくさ等の問題は切り方を工夫することでカバーしましょう。


麺帯にこま板を乗せた様子。
切り終わりに近づくとこま板の下の麺帯がなくなってこま板が不安定になるので、こま板を作るときに出る余った木の板をしきます。この木の板を麺帯の端にピタッとひっつけて置けば、麺帯があっちこっちにズレるのを防ぐこともできます。あっ、この画像はひっつけてないですね。失敗失敗。


準備は整いました。いよいよ切り本番です。youtubeなどでプロが切っているのを見ると、キャベツの千切りをしているかのようです。

しかし、どう考えてもあんなこと僕にはできない。できないなら、できることに分解しましょう。僕は以下の4工程に分けました。

1 枕に包丁を添わせる工程
2 麺を切る工程
3 麺を切り離す工程
4 こま板をズラす工程

順に説明していきます。


1 枕に包丁を添わせる工程
切っている最中に写真をとるのは難しかったので、後からそれっぽい写真をとりました。こま板の下の板を麺帯だと思って下さい。

こま板の端の高くなっている部分を枕というそうです。ここに包丁を添わせる。これが素人には意外に難しい。

枕の側面に平行に包丁を入れると、枕にピッタリと添わせることができず、枕と包丁の間に隙間ができてしまうことがあります。これだとキレイに麺を切ることができない。

そこで、エグるように斜めに包丁を入れてから包丁の角度を戻すことで隙間を作らずに枕に包丁をそわせます。

このとき、斜めになったままの状態で麺帯を切りつけないように注意します。麺帯に斜めに包丁を入れてしまうと、上の綿帯と下の麺帯で太さにムラができてしまいます。
四角を麺帯、赤い線を包丁の軌道とみなして下さい。斜めに包丁を入れて切ってしまうと、黄色の矢印のように上下の麺帯で大きくムラが生じてしまいます。斜めに包丁を入れるのはあくまで枕に包丁を添わせるためだけであることを忘れてはいけません。


2麺を切る工程
枕に包丁を添わせたら麺を切ります。上から下に垂直に包丁を入れます。斜めに刃を入れると前述のようなデメリットが生じるので注意。


3 麺を切り離す工程
包丁上から押し下げるだけではなく、前に動く成分を加えて前方に押すようにするとスムーズに麺を切り離すことができます。

しかし、動きが複雑になるのでせっかく枕に添わせた包丁がブレてしまいがちです。そこで、麺を切り離す動きは工程を分けて行います。


4 こま板をズラす工程
包丁を斜めにしてこま板をズラし、次の麺切りの準備をします。

画像で見ると以下のようになります。
 赤い矢印の部分が麺の太さになります。

ここで大事なのが枕の高さ。下の画像の黄色い矢印の部分です。
枕が高いと少し傾けるだけでこま板が大きくズレます。ズラしやすい反面、ブレが大きくなるデメリットがあります。

枕が低いと傾けてもあまりズレません。ズラしにくい反面、ブレが出にくいメリットがあります。

こま板を自作するときは、ここが一番大切なポイントになると思います。測ってみたところ、僕のこま板の枕は1.8㎝みたいです。今グーグルに聞いてみましたが、まあ平均的な高さってところみたいですね。

ちなみにこま板が細長いのは、片づけるときに邪魔だからコンパクトにしただけで深い考えがあってのものではありません。

あ、コンパクトで軽いな方が扱いやすいっていうのはあるかもしれないですね。しかし、重い方が安定してくれるという意見もあるみたいですし、軽い方が良いとは限らないよなあ。

こま板をズラす工程で気をつけないといけないのは左手を置く位置です。偏ったところに手を置くと、こま板がブレてしまう。


上の画像はコマ板の上部をおさえて強く固定したせいで、下部が大きくズレてしまった様子です。

手は真ん中に添えた方がブレが少なくて良いと僕は思います。
そうそう、こういう感じ。

プロでもない限り、一定の幅でズラし続けるのは難しいと思います。包丁を入れる前に、こま板からはみ出ている麺帯を見て確認して、ズレ方がおかしい時はこま板を動かして正しい位置に直しましょう。


以上のような工程を経て切り終わったのが以下の画像。 
両端にキレッパシが出てしまうのですが、これは茹でてサラダにでも混ぜて食べると美味いですよ。 


余った打ち粉とキレッパシを皿に入れて整理しました。
打ち粉は7g用意しましたが、半分くらい余りました。生粉打ちのそばの場合、麺を持ち上げて粉を落とすという作業がやりにくいです。湯に通すまではもろいので可能な限り動かしたくない。初めから打ち粉は必要最小限だけですませて、よけいな負荷のかかる作業は減らしたいものです。


そば粉100g、一人分の麺帯を切るのには大して時間がかかりませんし、スピードを競うわけでもないので、マグロの柵から刺身を切り取るようなペースで切っていけばいいと思います。僕はそんなレベルです。

といってもやっぱり面倒なので、なれてきたら工程をひっつけて作業しましょう。僕は切りを二段階にしていることが多いです。枕に包丁を添わせる工程と麺を切る工程を一つに、麺を切り離す工程とこま板をズラす工程を一つにまとめます。

ちなみに、僕のツイッターで「そばを打ったが麺の太さがそろっていない」とグチっているときは、工程をひっつけて作業をした結果、失敗してしまった場合がほとんどです。


切り編はここまで。茹で、仕上げ編に続きます。

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