そんな大事な昆布出汁ですが、どうやって取ればいいのでしょう。出汁の取り方って料理をはじめて一番最初に悩むところですよね。何をどうしたらいいのか全然分からない。
僕は美味しんぼ世代なので、出汁の取り方といえば、山岡さんが割れたビンでかつお節をかいていた記憶が強いです。そして、昆布はさっと湯に通すだけ。魯山人をネタにしていた初期の美味しんぼですから、たぶん元ネタはこのへんですよね。
北大路魯山人の出汁の取り方
でも、この美味しんぼ(というか魯山人風の)薄い出汁が美味いと思えないのですよ。
理屈は分かります。アミノ酸系の出汁と核酸系の出汁を合わせれば相乗効果がある。昆布出汁はこの相乗効果を生かして核酸系の魚出汁をひきたてるためのものである。昆布出汁の味それだけで勝負するわけではない。だから、多少薄くても昆布臭さを出さないように仕上げるべきだ。こういうことなんでしょう。
でも、実際そうやって魚と合わせて食べても美味さが分からんのです。馬鹿舌だから。
最終的な目的は自分が美味いと思えるものを食べることですから、自分が美味いと思う出汁の取り方をするしかないですよね。とにかく濃厚にとらないと。薄い上品な出汁を美味いと思えないのだから仕方がない。
ということで僕の出汁の取り方は「濃厚な出汁をとる」ことを目標に工程を組み立てています。
まず、どの昆布を選ぶのか。昆布の選択も濃厚な出汁を取れるかどうかが基本的な基準になります。日高昆布は出汁に濃厚さが足りないからダメ。僕が好きなのは真昆布か利尻昆布です。真昆布と利尻昆布、どっちを選ぶかと言われたら真昆布かなあ。濃厚さ基準だけでいえば羅臼昆布なのですが、なんだか垢抜けない昆布臭さを感じるのが苦手なので避けています。
さらにドライトマトを加える。邪道ですねえ。でも、ドライトマトはガッツリ旨みを出してくれるのです。昆布だけではピンとこないところを下支えしてくれる感じですね。
これらを水につけます。濃厚に出したいので、加熱する前に一晩水に浸すところから始めます。3リットルくらいの水に10cm四方程度の昆布を3枚程度でしょうか。ドライトマトは、量が多くなるとトマト臭を主張しはじめるので、ほんのちょっと、親指の先程度の大きさを切り取って使います。
水は水道水を利用しています。ミネラルウォーダーや純水を試したこともあったのですが違いが全く分かりませんでした。馬鹿舌ですから。違いが分からないなら一番手軽な選択肢ですよね。
さらにこれにシイタケの旨みを加えます。核酸系のグニアル酸を足すことで、味の相乗効果を狙うわけです。このしいたけも主張が強いので、ほんの一かけらでいいと思います。
シイタケの旨み成分生成のしくみ
シイタケは昆布やドライトマトとは分けて冷水につけます。どうしてか。リボ核酸を酵素が分解することでグニアル酸を作るというのがシイタケの旨み成分が生成するしくみです。ところが、シイタケにはせっかく出来上がった旨み成分をさらに分解してしまう酵素もある。そこで、これらの酵素が働かない温度でリボ核酸を抽出する必要があるのです。また、加熱するときは旨み成分を作ってくれる酵素の至適温度にしなければなりません。
シイタケ中のグアニル酸に関する研究
これを見ると、冷水に5時間もつけておけば十分なようです。ということで、シイタケは軽く日に当てた後、300ml程度の水につけて一晩冷蔵庫で保存します。
さあ、いよいよ加熱です!
それぞれにとって最適な加熱とはどういったものか。シイタケの場合は、上記のサイトで説明されているように、旨み成分を作ってくれる酵素の至適温度60℃以上で20分程度加熱するのが適当なようです。
では昆布はどうか。昆布出汁の加熱については京都の料亭「菊乃井」の出汁の取り方が何度もテレビなどで取り上げられて有名です。学者の先生との共同研究の結果、60℃で1時間加熱するのが一番良い結果が出たという話です。これをそのまま借用してしまいましょう。
僕は、シイタケを戻した汁も昆布と一緒の鍋に投入してしまいます。厳密にいえばシイタケの戻し汁と昆布それぞれに最適な加熱の方法は違うんでしょう。しかし、一緒に加熱した場合と分けて加熱してから合わせた場合、それぞれに違いを感じませんでした。そういうわけで、一緒に加熱しています。60℃~70℃で1時間加熱します。
これが面倒なんですよね。料理用温度計でいちいちチェックして、冷めてきたら再加熱しないといけない。僕はキッチンタイマーを使って15分ごとにチェックしていました…。
この面倒さを回避するためにシャトルシェフを導入することにしました。鍋版魔法瓶なので、1時間放置しても不適当な温度までは下がらない。とりあえず70℃に少し届かない程度まで加熱したら、シャトルシェフで1時間程度放置します。
最後に、仕上げの加熱をするかどうかが問題になります。最後の加熱の目的としては、昆布臭さを飛ばす、シイタケの酵素を失活させる、といったことが挙げられます。しかし、加熱による昆布臭さの変化というのは僕にはほとんど感じ取れませんでした。馬鹿舌ですから。また、シイタケの旨み分解酵素も60℃以上で失活するそうなので、ここでの加熱は不要でしょう。実際に仕上げの加熱をしてみた結果でも大きなメリットは感じられませんでした。逆にどうも味に丸みがなくなるようなデメリットを感じたので、この工程は採用していません。
というわけで、これで出来上がりです。ただ、まとめて作っているのでどう保存するのかが大きな問題になってしまいます。
僕の体感的には、このようにとった出汁は冷蔵庫で3、4日で劣化が始まります。冷蔵庫の保存では使い切れない。そこで、僕はプラスチックの容器に小分けして、まとめて冷凍しています。冷凍なら2週間程度はもつと思います。実際には10日以上冷凍しておいた経験がないのでよく分らないのですが。
出汁ガラの昆布やシイタケは煮ものに使うと美味しいです。ただ、ドライトマトがどうもねえ……。僕はドライトマトの出汁ガラだけは捨ててしまいます。本当は使い道があるんでしょうけど、イマイチ美味しく食べる方法が分らんのですよ。
最近は昆布を細かく刻んでエノキ茸と一緒にみりんしょうゆで煮てなめたけにして食べています。これは素晴らしいご飯のお供になりますよ。
凍らせた出汁は、使う前日に使う分だけ冷凍庫から取り出して解凍します。このときに煮干しを突っ込んだりするのですが、それは昆布出汁の取り方とは別の話になるので、この記事はこのへんでお開きにしましょう。
煮干しやかつおぶしの出汁の取り方は以下のリンクをご覧ください。
僕の出汁の取り方 煮干し編
僕の出汁の取り方 かつおぶし・その他編
これが面倒なんですよね。料理用温度計でいちいちチェックして、冷めてきたら再加熱しないといけない。僕はキッチンタイマーを使って15分ごとにチェックしていました…。
この面倒さを回避するためにシャトルシェフを導入することにしました。鍋版魔法瓶なので、1時間放置しても不適当な温度までは下がらない。とりあえず70℃に少し届かない程度まで加熱したら、シャトルシェフで1時間程度放置します。
最後に、仕上げの加熱をするかどうかが問題になります。最後の加熱の目的としては、昆布臭さを飛ばす、シイタケの酵素を失活させる、といったことが挙げられます。しかし、加熱による昆布臭さの変化というのは僕にはほとんど感じ取れませんでした。馬鹿舌ですから。また、シイタケの旨み分解酵素も60℃以上で失活するそうなので、ここでの加熱は不要でしょう。実際に仕上げの加熱をしてみた結果でも大きなメリットは感じられませんでした。逆にどうも味に丸みがなくなるようなデメリットを感じたので、この工程は採用していません。
というわけで、これで出来上がりです。ただ、まとめて作っているのでどう保存するのかが大きな問題になってしまいます。
僕の体感的には、このようにとった出汁は冷蔵庫で3、4日で劣化が始まります。冷蔵庫の保存では使い切れない。そこで、僕はプラスチックの容器に小分けして、まとめて冷凍しています。冷凍なら2週間程度はもつと思います。実際には10日以上冷凍しておいた経験がないのでよく分らないのですが。
出汁ガラの昆布やシイタケは煮ものに使うと美味しいです。ただ、ドライトマトがどうもねえ……。僕はドライトマトの出汁ガラだけは捨ててしまいます。本当は使い道があるんでしょうけど、イマイチ美味しく食べる方法が分らんのですよ。
最近は昆布を細かく刻んでエノキ茸と一緒にみりんしょうゆで煮てなめたけにして食べています。これは素晴らしいご飯のお供になりますよ。
凍らせた出汁は、使う前日に使う分だけ冷凍庫から取り出して解凍します。このときに煮干しを突っ込んだりするのですが、それは昆布出汁の取り方とは別の話になるので、この記事はこのへんでお開きにしましょう。
煮干しやかつおぶしの出汁の取り方は以下のリンクをご覧ください。
僕の出汁の取り方 煮干し編
僕の出汁の取り方 かつおぶし・その他編
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