2014年11月15日土曜日

トナカイの家畜根性を難じる

悴んだ手を無意識に口元にもってきて温める。そんな自分に気付く季節になってしまいました。寒さを堪えて飛び込んだスーパーマーケットでは早くもクリスマスを思わせるbackground musicが流れています。この店では定番の『赤鼻のトナカイ』を採用しているようです。まだ11月ですが、こころなしか買い物客もクリスマス気分に浮き立っているかのように見えます。

しかし、僕は、皆をクリスマス気分にする『赤鼻のトナカイ』の歌詞が嫌いなのです。トナカイの赤鼻を馬鹿にしているとしか思えません。暗い夜道で鼻が役に立つ?御冗談を!暗い夜道で役に立つほど鼻が光るわけがないでしょう。サンタの言葉は、いつも泣いているトナカイに追い打ちをかける残酷な鞭の一振りでしかないととるのが妥当です。

この説明だけでは抽象的すぎていまいち納得できないかもしれません。歌の主人公がトナカイという非人間であるため、自分をトナカイに置き換えて考えてみることが難しいのでしょう。そこで、わかりやくなるようにトナカイを僕に置き換えてみます。

僕は、生え際が少し後退しています。特に剃りこみ部分の髪の毛が少なくなりつつあります。俗にいうM字禿の予備軍です。まだ大きく後退はしていませんが、親戚にM字禿からガッツリ後退した人がいたので、将来的にM字禿からツルツルになるのは不可避ではないかと予想しています。

この僕の頭髪に対する悩みをトナカイの鼻に対する悩みと置き換えてみます。この二つは重要な部分で共通しており、置き換えは不当ではないと考えます。どちらも通常人と異なることを原因に揶揄される体の一部分だからです。そうすると『赤鼻のトナカイ』の歌詞は以下のようになります。

M字の頭の
ハリス綾さんは
いつもみんなの
笑いもの

でもその年のクリスマスの日
サンタのおじさんは言いました

暗い夜道は
ぴかぴかの
お前の頭が
役に立つのさ

いつも泣いてた
ハリス綾さんは
今宵こそはと
よろこびました

これでこの歌詞の異常性がはっきりしたと思います。こんなことを言われて喜ぶわけがないでしょう。僕なら今宵もまたかと悲しむでしょうし、気性の荒い人ならサンタクロースが文字通りコカコーラカラーになるまで殴りつけるかもしれません。喜ぶトナカイの家畜根性にはうんざりです。

他の客がクリスマスの予感に浮き立っている中、スーパーの養毛剤コーナーで怒りに震える僕でした。

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